蟻さんの分業意識 〜パレートの法則〜


ちまたの噂によると、蟻さんの実態調査をした結果、『働き蟻』と『ニーティングな蟻』の割合は、およそ【2:8】になっているらしい。

それは100匹いた蟻集団の内の20匹の働き蟻だけを抽出すると4:16に分かれ、逆に80匹のニーティングな蟻だけを抽出すると、これまた16:64に分かれるという不思議な噂なのだ。



さて噂の真偽のほどはよくわからないが、蟻さんのことを勝手に『働き者』と『ニーティング野郎』に区別されている点が気になる。まあ蟻さんの実態調査に一生懸命になるのも結構なのだが、ちゃんと蟻さんたち自身が互いについてどう解釈し合っているかを聞いてから、そういう分類命名をするのが蟻さんにたいする礼儀だと思えたりもするのだ。

さて礼儀の問題はともかく、たとえば八割のニーティングな蟻たちは『ちゃんと他の蟻軍団が来ないか見張っていろ!』と命令されて動いているのかも知れないし、あるいは『ふらふら遊んでいる振りをして、他の蟻軍団に気付かれないようにしろ!』と言われているのかも知れないのである。

ところでみんなは水戸黄門の『うっかり八兵衛』って知っているだろうか?あの八兵衛は、ただうっかりしているわけじゃない。ちゃんと悪者たちに警戒されないために重要な働きをしているのである。

もし万が一うっかり八兵衛がいなかったならば、きっと悪者たちも『あいつら、ただ者じゃねぇぞ。しばらくは大人しくしておいた方が賢いな』となるだろうし、さらには黄門さん御一行の側からしてもうっかり者を必要とする(2:8分業の法則)ため、助さんか格さんのどちらかが八兵衛の役を演じることにもなりかねないのだ。

ほんまアホらしい考えと思いながらもわずかな真実の可能性を信じるならば、さらに『運搬蟻たちが見張り役たちへ命令しているのか』、それとも『見張り蟻たちが運搬役たちへ命令しているのか』といった研究課題も浮かんで来るわけである。あるいはそれぞれの蟻たちが2:8の状況になっているかを監視する意識を持ち合わせつつ、足らない側へ移動する蟻を選出するために性格に照らし合わせながら合図を送り合っているのかも知れないのである。

要するに人間が自分の世界観を通しながら勝手に蟻さんの【外面的な動き】について命名しているのであって、蟻さんの【内面的な分業意識】を全く想定していないのである。

まあ『死人に口なし』と言われるように『蟻さんにも口なし』だから仕方があるまい。あるいは一時期までエジプトのピラミッドも奴隷をこき使って作られたように考えられて来たことも、まさに『古代人に口なし』を利用したものだ。まあそんな世の中だから、互いに好き勝手に持論を述べては集客度や知識階級の褒め合いを真実の基準にしておこう。

ただし、『うっかり八兵衛』の『八』が『2:8の法則』の『8』に由来するであろう自説については譲るわけにはいかない。



参考となる検索ワード

『長谷川英祐 アリ』『パレートの法則 蟻』





ひょっとしたら神様は、人間の解釈が時代時代によっていかなる状態にあるのかを知らせるために、蟻さんたちもこしらえておいたのかも知れない。